この日記は、22人の日本のトップマジシャンが出演する前代未聞のチャリティ企画2008年11月11日(火)に梅丘パークホールにて催された
「親しい仲間のために★盛りだくさん秋のマジックショー」
(プリン副会長を励ます会)への、スタッフと観た人の想いを綴ったものです。

主催・プリンあらモードMagicクラブ
協力・社団法人日本奇術協会
総合プロデューサー・荒木一郎会長
8月20日・篠原康子(製作助手)
 私は夏の旅行で京都に来ていました。京都出身のマジシャン、なか。たつやさんがお膳立てをしてくださった高級料亭で賑やかに美味しい夕食に舌鼓をうっていた時、プリンさんの親友で「プリあら」永世会員の松野好孝さんから深刻そうな声で電話が入りました。
「プリンさんの件で荒木会長に相談にのってほしいことがあるんだよ」と・・・。そう、その日は糖尿病から壊疽を併発してしまったプリン副会長の右足切断手術の日だったのです。松野さんからの相談は、片足を失ったプリン副会長の経済的なことを中心にした、これからのことでした。
 安直には解決できないような暗く深刻なお話なので、この相談を「どんなふうに会長に話したら。。。」と、気が重くなりました。
 京都から帰って、私は、すぐに松野さんと2人で、会長のところへ相談に行きました。
 会長宅のリビングで、神妙にイスに座ってプリンさんの状態を会長に話す松野さん。お話を聞き終ると、会長は、暗さなどみじんもない明るいトーンで回答を返されました。
 「俺が金を出したり、プリあらで募金をというより、みんなが喜ぶような面白い事をして、プリンさんを助けよう」と。
 暗い相談が一瞬のうちに 誰もがワクワクする話題に切りかわってしまったのです。
どんよりとした空がパーっと明るくなり、七色虹が・・・・。そんな感じでした。松野さんの顔も、来た時とはまったく違って、カラリとした笑顔になっていました。
 そこで、荒木会長のプロデュースによる「プリンさんへの励ましとチャリティーをかねたマジックショー」が出発することになりました。イベントの利益の全てをプリンさんへのお見舞金にするというものです。
9月初旬
 まず、「プリあら」と懇親のあるマジシャンの全員に連絡することから始まりました。人との繋がりを大切にされる荒木会長の絆、そして長い年月マジック業界で活躍されてきたプリン副会長の友人関係を合算するとその数、百数十名以上になります。
 連絡を取るのに3.4日かかりましたがプリンさんのこのニュースに皆さん一様に驚きをあらわにし、ほとんどの方から「なんでも協力します」との暖かい言葉を頂きました。
 渚晴彦さんからも、「日本奇術協会」が団体で協賛します、ダーク広和さんが中心になってお手伝いしますからと心強いお言葉をいただきました。
 会長の主旨に賛同し、応援してくださったマジシャンの数は100名以上(チラシにお名前を載せさせていただきました)、プリあら会員も含めると300名以上。
 荒木会長の発案で動き出した「親しい仲間のために・盛りだくさん秋のマジックショー」は、マジック業界、初の盛大な「チャリティーマジックショー」として、「お祭り」のようなビッグイベントとしての兆しを見せはじめました。
 「賛同してくれた人達に何かお土産(マジックグッズ)を渡したいな」という会長の意見にミカメクラフトさんが協力してくれました。ミカメ商品の自信作「MC コレクターズカードボックス・シングル」販売価格3675円をとても廉く提供してくださいました。
 しかも今回の企画の為に、プリあらのロゴマークをレーザーの焼付け加工入して特別に製作。焼き付けられた可愛らしい新ロゴマークは荒木会長が自らデザインされたものです。
9月中旬
 ダーク広和さんと会長の間で何度か意見が交換され、ダーク広和さんデザインによる美麗なチラシが出来上がりました!
「プリンさんに出来るだけ多くのお見舞金を渡すために」と、支出をおさえる事がイベントの目標なので、チラシやチケットの予算もそうですが、想像出来ないほど低予算で納められていくわけです。
 それにもかかわらず、企画内容のすべてが、チープに感じさないよう作られて行きます。都内の劇場を使わず、会議室を使用して、そこを一夜にして見た事もない大劇場に仕立て上げてしまいます。
 何人ものボランティア・スタッフが適材適所に組まれて行き、その中にはマジシャンであるマーカ・テンドーさんも、ダーク広和さんも、頭の下がる協力ぶりを発揮して下さっています。
 会長からは、出演いただけるマジシャンの方々は15組以上と目標が決められています。
 その結果、出演されるマジシャンは錚々たるメンバーとなり、
 ダーク広和さんやマーカ・テンドーさん、そして日本奇術協会・会長の渚晴彦さんはもちろんのこと、松旭斎すみえさん、ケン正木さん、ブラック嶋田さん、ヒロサカイさん、松旭斎八重子&プラスワンさん、Shoot Ogawaさん、ブラボー中谷さん、谷岡百合恵さん、スピリット百瀬さんと能勢裕里江さん、シルキー渚さん、Tomokoさん、神雅喜さん、伊藤夢葉さん、渋谷慶太さん、それにアシスタントとしてジュニア渚さん、飛び入りの出演者として柳田昌宏さん、合計18組22名のメンバーが予定されました。
 もちろん、全員が無償でのご出演です。他にも何人ものマジシャンの方々から、出演させてほしいとの有難い申し出があったのですが、時間の関係上断念せざるおえない現状がありました。
 出演者の方々の演目がかぶらないように、また演技中に必要なものは何かあるか・・などなど皆さんと何度も何度も綿密に連絡を取らせていただきました。
 また、当日は十分なリハーサルの時間がとれないことが事前にわかっていたので「リハは、無しなので・・・」というお願いにも全員が心よく承諾をしてくださいました。みなさんが出演順も含め「すべて会長におまかせします・・」と。
11月4日
 ダーク広和さんと横田菊枝さんが司会進行を務めてくださることが決定し、初めてスタッフが集められ、といってもメインだけですが、司会進行を中心とした打ち合わせが行われました。
 広和さんと菊ちゃん、打ち合わせ時にも、すでに呼吸の合ったお二人。さすがです。
 併せて、当日の全体の流れ、照明の事、音響の事、出演者控え室や準備のことなど、会長を中心に話し合いが進められ現場の輪郭がきちんと整えられていきました。
11月11日(開演前)・ 隅谷治子(司会・事務)
 チャリティーライブが眼前に迫って来たある日、会長から「11日の会場だけど、昼間も押さえているよね?」と電話がありました。「え?(昼間もとるの?)」。このライブを「プリあら」の例会と大して変らない気持ちで見ていた私は、多少、不思議な思いで「確認してみます」と、すぐに、梅丘パークホールに連絡してみました。
 通常の例会は夜間だけで十分なので、当然11日もいつもの例会と同じように、17時30分からしか使えない状態で予約になっていました。
 「昼間はあいてますか?」と、会場の担当者にきいてみると、「ダンス教室で埋まっています」(やばい、、、昼間も必要だったんだ、、、)。
 会長に報告すると、「そうか・・」と予測されていたらしく、直ぐにスパイダーの増設にかかる時間と大幕を設置する時間について、改めて確認されました。
 今回は、通常の例会と違って、搬入スタッフは、当日、マーカさんからお借りした、スパイダーの増設と大幕を設置しないといけない。これは、前回の例会を予行演習として、マーカさんの指導のもとに組み立ててみています。
 このときの時間は、初めての作業なのでかなりの時間を要していたのですが、かかった時間から手こずった時間を引いたり、スタッフの人数などを考慮して、「大丈夫だろう。スタッフに情熱があるし、佐々木がいるからね」と言われました。
 ただし「ダンス教室がおわる4時半より前に、搬入する道具をすべて会場の前に運んでおき、前の借り手が終り次第、直ぐに搬入にかかるように」と、細かい指示をもらいました。
 その時に指示されたことが、もうひとつあります。
 会場の係と終了時間のことです。
 出演マジシャンが18組!これだけのマジシャンが演技するとなると、開演が18:55だから、単純計算しても、搬出までの時間をいれると、22時までに会場をでるのは不可能に近い。当然、会長のことですから、すべて計算済みでいるのでしょうが、それでも心配です。区の施設だから、時間をおした時点で、会場の利用禁止令がでてしまう!(どうするの??)
 会長から、当日のホールの係の人が誰なのか確認するように言われました。なぜなら、係によって当日の状況が変るからです。係の人のなかには、プリあらの主旨に賛同して協力的に動いてくれる人もいますが、必ずしもそうとは限りません。
 会長は、その係を買収(?)して万一終了時間が押しても大丈夫な状態にしようとして、その通りにしたんです。
 こうして事前に確認事項があり、すべてが出来るということを前提に企画されていたにもかかわらず、私は、指示されたことをすっかり忘れていて、佐々木さんを始め、3時には集合していた当日のスタッフに何も告げずにいたし、会場の担当者が変ったことさえ、会長に連絡しないでいたんです。
 後から考えると、佐々木さんや美智代チャン、他の搬入スタッフには、そういう指示が会長からあった事を告げなかったために、みんなは、不安をかかえたまま走らされていました。開演までに設営は間に合うのか? 時間通りに撤収できるんだろうか? 大混乱にならないですむのか?・・この不安に対する解答は、すべて事前に計算されていたにもかかわらずです。
 司会にしても、私は、いつもの例会と同じに考えていたので、2時間半の最初30分だけだから、、、と軽く考えていました。ダークさんが司会を請け合う姿勢とは、まったく違うものでした。自分が話すことを台本を書かなかったばかりに、オープニングでヒドイ失態をおかしてしまいます。このイベントの凄さが分かっていれば、とてもできないことです。
 とにかく、会長の指示をみんなに伝えなかった事、司会をいつもの例会と同じように思っていた事はもちろん、他にもいくつか・・今回は反省の連続でした。
 11.11は、プリあらの例会とは、まったく違う、どこにもない誰にもできない大イベントだったこと。終わったあと気づかされました。
 12月15日に行われた打ち上げの舞台で、ダーク広和さんが『プロデューサーとは』という内容のスピーチをされました。それを聞いて、あらためてイベントの大きさを知りました。「こういうプロデューサーが存在して欲しい、、」そう語るダークさんの言葉が心に残りました。
11月11日(火)開演前・佐々木由喜雄(司会・大道具・照明)
 プリあらスタッフの間には、いつにも増して緊張が走っていた。いつものスタッフメンバーに加えて、お客さんのはずのプリあら会員達もがステージの設営の手伝いをする為に早々と駆けつけてくれた。
 テキパキと準備が進む。が、ひとつ大きな問題がある事をみんなは知っていた。会場の梅ヶ丘パークホールの予約がいっぱいで、夜しか借りられなかったのだ。
 つまり、会場に入れる夕方5時から開場時刻の6時半までの間に、マーカさん提供の特設ステージ・140人分の客席・18組分の楽屋を作り、照明・音響・進行を打ち合わせ、ボランティアでご出演くださる18組のマジシャンの方々(この顔ぶれが凄い!日本を、いや世界を代表する日本の超一流マジシャンの皆様が総結集してくださった!)の最小限のリハーサルを終わらせなければならない。全て含めて、正味1時間半!
 『時間が無さすぎる、無理だ』
 みんな、いや少なくとも自分はそう思っていた。しかし誰も口に出す者はいない。やるしかない。何がなんでも、1時間半で『貸し会議室』に『劇場』を作るのだ!
 会場の前に、全ての荷物や道具を運び終えたのが4時過ぎ。まだ会場は我々の前に借りているグループの人達が使用中。会員達の協力のおかげで何とか人手は足りている。が、会場に入れない、不安がよぎる、ドースル?
 その時、誰かの声がした。「前の人達が4時半には完全に会場から出るから、そしたらすぐ入れるって!」振り返ると、美智代ちゃんの笑顔があった。一瞬にして、ヤッター!これでイケる!という空気になった。
 本当は、最低でも3時間は必要な内容だったので、実は30分早まる程度では『焼け石に水』だったのだが、何故かみんなアドレナリン出まくりだった。
 そのあとのみんなの動きは見事だった。多少トラブルもあったがそれぞれ協力しあい、工夫して乗りきった。実感としては、みんながそれぞれできる事を次々に探して、無我夢中でやっていたらいつの間にかできていた!という感じであった。
 あれっ?まただ!
 突然、デ・ジャ・ブのような感覚に襲われた。
 みんなの能力を最大限引き出して、不可能を可能にしてしまう荒木会長の『宇宙人マジック』?
 とにかく『劇場』はできた。
11月11日(火)本番!!・篠原康子
 二ヶ月半前から動きだした、この企画・・・11.11 準備万端、いざ本番!!協力マジシャンの何人もの方から、「いよいよだね」と連絡をいただきました。皆さん、今日という日をとても楽しみにされている様子が伝わってきて嬉しくなりました。
 広和さんと菊ちゃんによる名司会で、2時間半以上にわたるコンベンションさながらのマジックショーが展開されていきます。楽しすぎるショーの連打・テンポのよい進行、18組が出演されたマジックショーだったというのに、過ぎた時間は「あっ」という間に感じられました。
 荒木会長のプロデュースで18組のマジシャンの出演順番・演技内容と分数など・・進行時に大変重要なタイムテーブルがキチンと丁寧にきめられています。マジシャン、一人一人の特性を知りえる方だからこそできる演出力。 
 出演マジシャンの方々はどの方もさすが一流のプロでいらっしゃいます、全員「あ・うん」の呼吸で会長の意図を汲み取り、呼吸をひとつに合わせて、ご協力してくたださいました。
 緞帳が開かれるたびに、一流プロマジシャンの際立った色とりどりの演技が展開されていきます。その緞帳の開閉は全部で18回。
 開閉が繰り返されるたびにショーに魅了され沸き起こる観客の大歓声。そこには、いまだかつて観た事のない大舞台さながらの贅沢なエンターテイメントが繰り広げられました。
村山崇(観客として)・・ここをクリックして映像をご覧下さい

 「親しい仲間のために・盛りだくさん秋のマジックショー」は、私にとって忘れられない一夜になりました。
 豪華絢爛な出演者が、手弁当で駆けつけ、営業抜きで、持ち時間を目一杯使い、400メートルリレーさながら、次々とマジックがバトンタッチされていく様は、「これまでも、これからも」二度と見ることはないと思います。
 そもそも、日本の名だたるマジシャンの大半が、11月11日、6時55分に(準備を含めると、もっともっと前からでしょうが)、うら寂しい(失礼!)梅ヶ丘の会議室に、全国から集結すること自体、異常であり、「不思議」以外の何ものでもありません。

 しかも、時間の関係で出演を断らざるを得なかったマジシャンが何十人もいたというのですから、このイベントの特異性(?)が伺えます。勿論、会場には沢浩先生はじめ、高名なマジシャンのお顔も沢山拝見できました。正に前代未聞のマジックショーです。
 私はというと、小学校の「お楽しみ会」さながらのアットホームな進行に対して、演じられるマジックの質は異常に高いという、えも言われぬギャップに最初は戸惑いつつも、いつしか繰り出されるマジックを無我夢中で追いかけているのでした。
 そして、余りの迫力とスピードにどうやってショーが終わったのか、はっきりとした記憶がないまま帰りの電車に乗っていたのですが、凝縮されたショーの残像が脳裏を行き交うばかりで、その時点では、感想めいた感情はほとんど湧いてきませんでした。
 しかしその夜、寝床に入ってから、改めて今日の「親しい仲間のために〜」を振り返っているうちに、いつしか涙が止まらなくなってきたのです。
 うまく表現できませんが、そもそもこうしたチャリティーがあることをホームページで知った時、私自身は心に少しだけひっかかるものがありました。

 それは、病気で苦しんでいるプリン副会長を励ますという大義とは言え、入院中のご当人の心中を察すると、逆に傷つける結果になりはしないのかと…。また、私自身の中にあった「同情」という感情にも、何となく嫌悪を感じていました。
 でも、結局は「励まし」「同情」「マジックが見たい」といった動機を混濁させたまま、今日のショーに参加してしまったのですが…。

 しかし、参加してみて、今更ながらに気づかされたことは、この企画はやっぱりやって良かった!ということでした。なぜなら気持ちの濃淡の差はあっても、この企画に関心を寄せた人、ここに参加した方々は、100%でないにしても、少なくともその瞬間だけはプリンさんのことに「想い」を馳せることができたのですから。
 もし、こうしたきっかけが与えられなかったら、プリンさんに対して100%の感情を持った人しか、気持ちを伝えることはできなかったのではないでしょうか。

 そうした思いで改めて今日のショーを振り返ったとき、(ここからは個人的な想像ですが)、実はショーに出演したマジシャンの皆さんは、同業者(仲間うち)にしか分からない「プリンさんへの激励の想い」を胸に、「がんばれ!がんばれ!」と必死にエールを送りながらマジックを演じていたのではないでしょうか。
 あの特異な雰囲気は、「観客のためのショーではなく」、入院したクラスの「親しい仲間のために」先生が企画した催し物だったと、今になってタイトルの意味が鮮明に見えてきました。
 そして、何より私にとってのサプライズは、プリン副会長ご自身が、会場にいらしたことでした(人間力に乏しい私は、当日、プリン副会長がお見えになることは絶対にないと思っていましたから…)。
 プリン副会長の胸中は、察して余りありますが、今日、多くの仲間がプリンさんに対して寄せた数々の「想い」は、きっとご当人の心を響かせ、揺さぶるものがあったと信じています。親しさに個人差はあっても、マジックを介しての「仲間」が、それぞれの「想い」を、等身大の形で伝えることができたことはとても素晴らしいことだと思います。 

 そしてさかのぼって考えるに、「チャリティ」をやるということは、実はものすごく勇気のいることだと思うのです。偽善者的な見方をされることもあるかも知れませんし、相手がどう受け取ってくれるか分からないリスクもあります。でも、「やらないよりやった方がいい」と、当然のように決断した荒木会長は本当にすごいと思います。
 会長の「人を想う気持ち」「人間愛」「純粋さ」が、多くの人を衝き動かし、今日の感動を与えたのですから! 
 そして、こんな私にさえ、小さな励ましの気持ちをプリン副会長に届ける機会を作っていただき、感謝の言葉もありません(今はプリン副会長の再出発を、100%、心より応援しています)。
 是非、いつの日か、今日のこのメンバーで、プリン副会長を囲んでの「親しい仲間」による「お楽しみ会」が再び催されることを心待ちにしています。そしてその時には、最前列で今日以上の大きな拍手を、目一杯、仲間達に送ります(絶対に呼んで下さいね!)!
 更けゆく秋の夜長、色々なことを考えさせてくれた不思議で素敵な一夜を、本当に本当にありがとうございました。

11月11日(火) 福田智大(観客として)
 今回の会の趣旨は「プリあら」の副会長であるプリンさんの激励です!普通はこういった「病気を経て」という時はせいぜい募金程度(決してそれがいけないだとか心がこもっていないとか言うわけじゃないですよ)だと思いますが、その激励のためにそうそうたるマジシャンを集めて会を開いちゃおうってんだから「プリあら」って素敵です。
 しかも出演する皆さんもその方針に賛同しているってんだからもうマジシャンて、なんて素敵なんでしょう!
 マジックはまず人を楽しませるのが大事なわけだから、「人を元気にしよう」という今回の趣旨はまさにそれなワケです。
 そんな趣旨のもと、今回は18組のマジシャンの方々がショーをしてくださいました!もう多すぎてその内容とか演目とかここに書くのは無理なので、その辺は写真を参照してください。
 一つ伝えたいこと、それはショー全体がとても暖かい雰囲気の中で行われたということです。
 人を想うというatmosphere(雰囲気)がそこには満ちていたんです。それが本当に素敵なことだなぁと僕はショーを通して
感じていました。きっと病院を抜け出して会に駆けつけたプリンさんご本人もそれを感じていたと思います。
 もちろんマジックの内容だとかテクニックだとか、見習うべきところだらけなんですけど、それ以上に人を想うという力のすごさみたいなものを非常に強く感じました。
 会長は、この会を開いた経緯を会の終わりに説明する際、「プリンさんは本当に不摂生な人だから自業自得」だなんて言っておきながら、「それでもプリンさんのことを想ってこれだけ多くの人が集まってくれたんだから、頑張って養生してほしい」って話をしめるもんだから、もうホントにずるいです。
 やっぱり人のことを本当に想っているからこそ「自業自得だ」とか、きつい言葉も入るんですよね。しかも伝えたいメッセージがそれによって、よりしっかりしたものとしてプリンさんには伝わっていると思います(この会の模様を収録したDVDがプリンさんに渡されるそうです)。
 僕もプリンさんには伊勢丹のディーラーのバイトで何回かお世話になっているので、本当に早く元気になってほしいと思います。とにかく、とってもあったかい、いつもとはちょっと違う、ジーンとくる、やさしくなれる、そんな会になりました。
堀 友成(大道具)
 今回、私が担当したのは引き幕の開閉です。ただ、いきなり引き幕を担当したわけではなくそこは用意周到なプリあら、事前に2回ほど例会で実践練習をしました。1回目の時は、緊張しまくりでしたが今回は、すこし余裕をもって挑めましたのでちょこっと感想を書きます。
 客席側からだと何が行われているかわかりませんが幕を閉めたと同時にスタッフが次の舞台の準備で大忙しです。時にはマジシャンの準備ができないこともあり司会に合図を送ることもありました。しかし、幕を開けた瞬間、そこにはマジシャンの世界が繰り
広げられていました。(18回も)とても貴重な体験ができて感謝しています。
 また、最後に会長が「幕」の開閉の担当をした僕達について一言、言われたときには、すべてを見ていてくれているんだなと思い、うれしかったです。
村岡正仁(舞台設営・担当)
 今回は、いつも以上に出演マジシャンが安全にステージに上がり降りできるよう舞台を設置、舞台周りにも気を使いました。
 ステージを設置する際は、今日のための大きなステージセットの骨組みをマーカ・テンドーさんに教わりながら付けました。
 作業は時間との戦いで、ショーの最中も緊張しっぱなしでしたが、素晴らしい達成感を得ることができました。そしてマジックショーは大成功、荒木会長はこの大変な大一番を見事、「読み切り」勝利したのでした。
会場・篠原康子
 会場には、岐阜県からわざわざ出向いて来られた沢浩さんのお顔も見られ、幸条さおりさん、あさおかるいさん、ぺるさん、Mr・ジョーカーさん、長谷和幸さん、シンコーさんら、沢山のマジシャンの方々のお姿がありました。
 プリン副会長は、病院から外出許可が出たので、松野好孝さんの介添えのもと車椅子で参加することが出来ました。
 プリン副会長は200人あまりの人々で埋め尽くされた会場の中「私はこんなにも、沢山の暖かい人達に支えられていたんですね、考えてもみなかった・・・」と、感無量のご様子。目には涙が溢れていました。
 会終了後にプリン副会長から電話があり、「司会の広和さんから一言お願いしますといわれた時、感動で頭の中が真っ白になってしまいました。感謝の気持ちで胸がいっぱいになり、言葉になりませんでした。私にこんなに素晴らしいものを、暖かい心を下さった皆さんと、荒木会長に心からお礼をいいたいです。本当にありがとうございました」と、言われていました。帰りの車の中では、涙が止まらずにいたそうです。
 ラストは、総合プロデューサーの会長のスピーチで締めくくられました。プリンさんへの暖かい応援のメッセージ、惜しみない応援と協力をしてくださったみんなの気持ちを、ひとつひとつ丁寧に宝石箱に入れていくかのような感動のスピーチ。思わず涙されている方が大勢いました。
 人というのは大切な何かのために協力しあうことが出来るということを、このイベントは証明してくれました。 たずさわった皆の心の中に一生忘れることのできない「陽だまり」を残してくれました。
音響・中上太郎
 出演者から全員からMDを預かること19個。出演順にこれらのMDの音を出していくことが、これだけ神経を使うことだとは思いませんでした。
 タイムテーブルに忠実にタイムリーに進められていく進行の中、あらかじめ「百人一種」のように並べてあるMDの順番がまちがえていないか・・・本番中に何度も何度も確認してしまう自分がいました。ほとんど神経症! とにかく間違えずやり終えてホットしています。
ビデオ撮影担当・斎藤恵美
 プリあら例会でビデオをいつもまわしていますが、11.11はとても緊張しました。
 ビデオテープの録画収録時間が決まっているので、テープ交換のタイミングが合わなかったらどうしょう・・とそればかり気にしていましたが、多数の出演者だったにもかかわらず少しの遅れもなくタイムテーブルどおりに進んでいく演出力とチームワークの良さに驚きました。
照明・スポット担当・久住辰雄
 開演!緊張のあまり、暗転の中トップバッターのダーク広和さんの音が出たらスポットを付けるという重要なタイミングを外してしまいました。
 ダークさんは、暗闇の中・・・僕の失敗にあわてもせず、「ここにいるよー」とまるで演出家のように声をあげてくださり、教えてくれました。そして、その後もBGMぴったりの演技を見せてくれました。さすが、プロ。おかげさまで僕の失敗は演技後には解消されていました。
サイド照明・五十嵐美智代・芝原俊光
 はじめて、18組ものマジックショーの照明を担当させていただきました。それぞれの演目に合わせた照明は、マジシャンの方からは「すべて、おまかせで」製作側からは「演技にあわせての臨機応変の対応を」というもの。
 未熟な私達(五十嵐・芝原)に、その都度指示を与えてくれた照明チーフの佐々木さんには右往左往の思いをさせてしまいましたが、出来る限りの力で頑張りました。いい経験になりとっても勉強になりました。
カメラ撮影・佐藤理恵
 出演者の皆さんの笑顔がどの方もとても素敵だったのと 舞台がとても綺麗だったのでシャッターを切りやすかったです。
 こんなに沢山のプロマジシャンの写真をとらせてもらえるなんて、とても光栄なことです。
終了後・篠原康子
 11.11のチャリティーイベントはまさに、プロマジシャンと「プリあら」が協力し合っての「統合芸術」。「過去においてもこれからも、このような素晴らしいイベントは無二の存在になることでしよう」「参加出来てうれしかったです」と、出演されたヒロサカイさんやシルキー渚さんからも感想をいただきました。「大成功おめでとう!とにかく楽しかった、いい会だった」とケン正木さん、
 総合プロデューサーの荒木会長は、プリン副会長を初め、賛同者全員に「最高の一日」をプロデュースしてくださいました。
 ショーが終った時、マーカ・テンドーさんが会長の元に飛んできて、会長の手を握って何かをささやいてる姿をはじめ、すみえ先生、渚会長・・・出演していただいたマジシャンの方々がとてもいい笑顔で荒木会長にお声をかけている姿が印象的でした。
 舞台設定、出演者の選出や進行内容の構成、カメラマン、BGMオペレーター、照明、等々が統括され、大きなチームとなって、同じ想いで最高の舞台を創造しました。
 プロデューサーは全てのセクションを把握し、一緒にステージを創り上げる全てのスタッフの工程や技術、何より「気持ち」をわかっているのです。だからこそ全てのセクションが一つになり「BEST」な感動を創り出すことができるのでしょう。
 ぼんやりとしたイメージしか湧いていない人がその中に数名いたとしても経験豊かプロデューサーの凄腕によって「11.11」は、そのことにふさわしい構想が実現されてゆきました!
 プリン副会長はこれからがいろいろ大変でしょうが、会長に言葉通り、これからは養生して、仲間に囲まれた人生を大切に過ごされることでしょう。応援してくださった全員のお名前を芳名帳に記入し「特製11.11メモリーアルバム」も作成しました。
 後日、ダーク広和さんと松野さんとプリンさんのお見舞いに行き、それをプリン副会長にプレゼントいたしました。「一生の最高の思い出、大切な宝物です」アルバムを胸にかかえ涙ぐむプリン副会長を見て11.11の感動が胸に去来していきます。
 そして、予定していた額よりもはるかに多いお見舞金がプレゼントできました、すごいな。 
 暖かな真心がふれあうこのイベントに関らせていただき、色々な体験をさせていただけたこと・・・私は心からとても誇りに思います。
マジシャン・楽屋担当・比見かなえ
 出演されるマジシャンの方々は、この日の為に山ほどのマジック道具を準備され、本番に使わない道具までも念のためにと用意されている方もおられました。楽屋の中は、まさに熱気に溢れ、間近で見ている私は緊張のあまり役に立つどころか失敗ばかりでした。
 本番前にTomokoさんに、「すみません、舞台監督いますか?」と聞かれ、思わず探してしまいましたが、なんとこんな大きな企画に舞台監督は存在していなかったんです。焦った私は、会場をよく見渡すとそこには照明、音響、舞台と各担当が自主的に行動していて、すべてがプロデューサーの考えのもとで作られていたのです。
  普段、誰かの為にと真剣に考えたことがなかったので、次々におこるイベントのすごさに心が熱くなりました。
 ショーもアフターも終わったあと、柳田昌宏さんとShoot Ogawaさんが、「会長がいて下さることで、マジシャン同志が集まれる場所がある」と、話して下さいました。そして「この会を通して、さらに会長の愛情の深さを感じました」とおっしゃっておられました。
 私はこんな素敵な環境の中で、人と人とのつながりの温かさ、すごさに、ただただ感動するばかりでした。
12月15日(月)打ち上げ・篠原康子 
 梅丘iStudioにて・・・。
 とても有意義な体験をさせていただいた「11.11」から早一ヶ月が過ぎた今日、私達の心の中にまだアツイものが残っています・・・。
 そんな私たちの気持ちを知っているかのように荒木会長の取り計らいで「主要スタッフの集い・打ち上げ」が開かれました。
田中哉巖(当日・スタッフ)
 打ち上げ当日iStudioに行ってみると,なんといつもの空間がステージに変身。舞台があり!,スクリーンもあり!!,音響まであり!!!とすごいことになっていました。豪華なメンバーに豪華な料理も並んでいます。
 まずは11.11当日のスライドショー。それぞれのマジシャンの素晴らしいパフォーマンスの瞬間を捉えた写真でしたが,流れるように出てくる写真は静止画ではなく動画のように見えました。
 続いて関わったスタッフ全員が11.11を終えた気持ちを述べました。それぞれの方の思いを聞いて,皆さんが当日を迎えるまで,いや当日を終えるまでに様々な気持ちでいることを知ることができ,そこにある苦労話,楽しい話はどれもがドラマのような出来事で,文字通り「事実は小説より奇なり」という内容でした。
 プリあら結成から10年が経ち,その間に培われてきた目に見えない大きな大きな力が一つになったことで今回のイベントが出来上がったということを知ることができました。
 人と人が気持ちという目に見えないものでつながり,そのつながりが生み出すパワーでさらに人と人がつながり,物事がどんどん動き出していくということを実感できたように思います。人が創り出すものの素晴らしさを体感できた時間でした。
 今回の素晴らしい企画に参加できたことはとても光栄で,呼んでいただけたことを大変嬉しく思います。今の自分の気持ちを周りにいる人たちに何らかの形で生かせたらいいなと思います。  
 11.11にかかわった皆様,本当にお疲れ様でした。そしてこの素晴らしい「つながり」を私たちに見えるように形にしていただいて本当にありがとうございました。
「11.11」に多大なる協力をしていただいた、社団法人日本奇術協会 渚晴彦会長からコメントをいただきました。
2009年1月5日(月)・ 渚晴彦
 11.11、この日は、日本のマジシャンが世田谷に集結!
 プロからアマチュアまでマジック関係者ばかり、会場は何やらお祭り騒ぎのようでした!
 この催しはプリあら会の会長荒木一郎さんのお声がかりで、副会長プリンさんの病気に対する励ましと、マジック仲間の義援金目的の集いです。大変な盛り上がりでした。
 出演者全員無料奉仕です。私はライオンズクラブで奉仕活動をやっていますのでわかりますが、プロマジシャンの人たちがここまでのチャリティ精神を持っている、たくさんの人達がいたとは信じられない状況でした。マジック界にとってもプリあら会の信頼の賜物と感謝しています。
 一部二部と二部構成になっていまして一部の終わりに収益金の贈呈でプリンさんの退場となりました。帰りのタクシーではプリンさんが感謝の気持が一杯で泣いておられたとのことでした。プリンさんが泣いていたという意味、、底深いところを考えるとなんと悲しいことでしょう。
 こんなことになるなんて、と悔しかったのも入り混じっての涙ではなかったのでしょうか?
 今後の生活をマイナーにせずプラス思考で生きてほしいと思います。
 私達で出来ることがあれば協力していきたいと思っています。また、元気にお会いできる日を楽しみにしています。
 イベントの大成功、おめでとうございました。ご協力できたこと心から嬉しく思います。

Topに戻る